シラカバ | the celtic tree
冬至を迎える12月。
北緯66.6度を超える地域では、太陽が南地平線に永遠に沈む夜がやってきます。
まるで太陽が死んでしまったように昼が無くなる「極夜(きょくや)」の到来です。
北欧人たちは、長いときには2ヶ月もの間、極北の地に垂れ込めるおそろしい静寂の中、
死と隣り合わせで過ごさなければなりませんでした。
キリスト教で「666」が魔の数字とされ、今でも忌み嫌われるのはこれを理由とする説もあります。
川すらも凍てつく世界の中、動くものと言えば心臓の鼓動の一拍一拍のみ。
ある者は壮厳たる森に心を奪われ、ある者は心を恐怖で満たします。
極北(きょくほく)の原始の大自然と向き合うとき、生命はそこで生き抜く力を試されます。
ほっそりとエレガントで、気品ある白い肌をもつシラカバが、こんな逆境を生き抜けることはケルト人にとっていかに驚異的だったことでしょう。
この樹木を森の白い女神として崇め、6月24日をシラカバの日と定めました。
シラカバは雨にぬれても火をともすことができます。
また、樹皮は空気を多く含みとても丈夫なため、古来よりカヌーや家の屋根に張られ、重宝されてきました。
かわいらしい形をした「ククサ」は、フィンランドなど北欧の厳しい自然の中を生き抜いたシラカバのコブをくりぬいて作られます。
これをプレゼントされた人は幸運に恵まれるのだとか。
「極夜(きょくや)」はオーロラが最も美しく輝く時期でもあります。
シラカバはケルト宇宙における純白と美のシンボルであり、
北欧の白銀世界において、光り輝くことができる樹木なのです。
【ケルトツリータロット】
気品あふれる森の白い女神、シラカバ。
このカードは、研ぎ澄まされた知性や、神秘性を帯びた直観力などを暗示します。
また人間関係では、精神的な結びつきが強くなる時。きっと知的で穏やかな関係を築けるでしょう。
逆位置では、潔癖や、他人行儀、思慮不足などを表すでしょう。
シラカバはタロットの女教皇に対応しています。
文:あみゅー