エルム | the celtic tree
ニレ科・落葉高木。
全能の神オーディンは、一本の樹木から一人の女性を創りました。
女性の名は「エムブラ」。
そこからこの樹木はエルムと呼ばれるようになりました。
エルムが北欧に繁殖し始めたのは、今から約一万二千年ほど前の最後の氷河期の後からです。
世界には30メートルほどの巨樹も存在し、その立派な褐色の幹は数年もしないでひび割れます。
エルムは乾燥が大の苦手で、水気を多く含む土壌を好むのです。
それはまるで、生きるために心の潤いを求める人間のようでもあります。
ドルイド(魔導士)たちはエルムを「よく泣く樹木」だと言い伝えました。
小川や湖のほとりで、数百年もの時を経たエルムの木陰で休んでいると、いつしか根っこがわさわさと動きだして、私たちの体と魂をやさしく包み込んでくれるような気がします。
根から吸い上げられ、その葉脈と細胞壁を通過するとき、すべての邪や悪は浄化されていくのです。
エルムと共にある限り、わたしたちは魂の輝きをとりもどして新しく生まれ変わることができます。
しかし一方で、エルムは菌類や害虫につかれると、たちまち病気にかかってしまいます。まるで汚れなき高貴な魂が、例え一滴でも内に悪を持つことに耐えられないかのように。
ケルト宇宙の高潔で聖なる樹木、それがエルムなのです。
【ケルトツリータロット】
高貴な魂を讃える樹木、エルム。
このカードは、冷静な分析や、客観的な判断などを表します。
また公私ともに良くバランスがとれ、スムーズに物事を進めていける時でもあります。
何事にも公明正大な姿勢で臨むことが、物事を解決へと導くでしょう。
逆位置では、偏見や判断の誤り、迷いが断ち切れない状況などを暗示します。
エルムはタロットの正義に対応しています。
文:あみゅー