イチジク | the celtic tree

イチジクは、キリスト教と縁の深い果実。
アダムとイブが恥じらいに目覚めたとき、はじめて身を覆った着物がイチジクの葉っぱです。
また、イブがアダムに渡した禁断の果実とはリンゴなのか? あるいはイチジクだったのか?
議論は終わることなく、真実は永遠の闇の中です。
やがてキリスト教の布教に伴い、イチジクは肉欲の罪のシンボルとなっていきます。
一方で、実をたくさんつけるイチジクは、
多産を司るともされてきました。
歴史上、多産の神は同時に農耕の神でもあり、面白いことに獣と人間の間の存在であることが多いようです。
ギリシャの「パーン(Pan)」やローマの「ファウヌス(Faunus)」、ロシアの森林の精霊「リェッシー(ljeschie)」は、いずれも山羊の蹄と山羊の角をもちます。
イチジクの薬効は古代中国やローマにおいて、古くから記されてきました。
豊潤な赤い果肉に含まれるアミノ酸はスタミナやホルモンを増強してくれますし、リンは精神を興奮させる働きがあるとされます。
そのため、古代ローマでは精力をつける媚薬として大変もてはやされました。
聖書も原罪も知らなかったケルト人にとって、イチジクはエロスを讃える果実であり、生命の源泉でした。
イチジクを守護樹とする者は、自分の欲望に忠実です。
たとえそれが、周囲の者や自分自身を滅ぼすことになろうと。
しかしそれは、豊かな感受性を持つがゆえなのです。
【ケルトツリータロット】

生命の源泉を司る樹木、イチジク。
このカードは、欲望や誘惑を暗示します。
己に欲望に忠実に生きることは決して間違いではありません。しかし情欲に溺れたり、金銭の浪費、中毒症状などには注意が必要でしょう。
逆位置では、誘惑に打ち勝つ、腐れ縁を断ち切ることなどを表します。
イチジクはタロットの悪魔に対応しています。
文:あみゅー